求女塚というお話があります。
ペインターのNIROさんは、兵庫県に伝わる民話や伝説などをもとに絵を描き、個展を開いています。NIROさんの描いた絵の元になったお話をお伝えします。
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むかし、むかし、摂津の国の菟原に、一人のとても美しい女の人が住んでおりましたと。
摂津の国の菟原というのは、今の兵庫県芦屋市や神戸市の辺りにあたります。
月日がたち、菟原処女は、とても美しくなるだけでなく、機織りもとても上手になりました。
たくさんの男の人が、この菟原処女の顔を一目でもいいから見たい、できれば結婚をしたいと思い、毎日のように訪れていました。その中でも、この娘と同じ摂津の国に住む菟原男という名前の若者と、和泉の国に住む茅渟という名前の若者は、熱心に菟原処女の家を訪ね、結婚したいと願っていました。
二人の若者は、ともにとても立派な若者でした。
二人の若者は、同じ年でした。
そのうえ、二人の若者は、顔立ちも似ていて、まるでうりのようにそっくりでした。
どちらもとても心のやさしい若者で、きっと菟原処女のことを幸せにするだろうと思われました。
そのうちに、菟原処女の両親もこの二人の若者のどちらかを婿にむかえるのがよいだろうと、考えるようになりました。
二人の若者は、どちらも自分の方が菟原処女にふさわしいと考え、なんとしても菟原処女と結婚したいと考えて、それまでにも増して、熱心に家を訪ねるようになりました。
そのうち、この二人の若者は、少しずつお互いを憎みあうようになりました。このままほっておくと、いつか決闘を始めてしまうのではないかと思われました。
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関係する言葉についてもお読みください。
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